カテゴリー: 教育機関

  • 発言を促してもシーンとしていた学生たちが、自発的に動き出す

    発言を促してもシーンとしていた学生たちが、自発的に動き出す

    昭和学院短期大学 様

    人間生活学科キャリア創造専攻 准教授 

    小川 弓美子 様

    サマリー

    抱えていた課題

    学生が主体となるプロジェクトなのに意見が出ない。促しても沈黙が続き、関係性の質を変える突破口が見つからなかった。

    選んだ理由

    難解なルールがなく、誰もが「遊び感覚」で夢中になれるハードルの低さ。直感的に「これならいける」と感じた。

    導入後の成果

    ワークを境に雰囲気が和らぎ、自発的な発言やリーダーシップが誕生。さらに、一般向け市民講座でも「過去最高」のアンケート評価を獲得。

    1. 抱えていた課題(Before)

    「些細なことでもいいから言って」と促しても、続く沈黙。学生たちの主体性を引き出す突破口がなかった。

     当校では、学園祭で食品の商品開発を学び、オリジナル商品としてプロデュースするカリキュラムを取り入れています。商品構想からコンセプト決定、企業への依頼まで、学生が主体となって進める1年がかりの大きなプロジェクトです。

     しかし、プロジェクトを始動させるための最初の「アイデア出し」の段階で、毎回のように壁にぶつかります。学生たちが発言を躊躇してしまうのです。

     グループ間で意見を出し合うことに慣れていない気恥ずかしさや、イベントをまだ「自分事化」できていないという主体性の問題があったのかもしれません。学園祭は学生のアイデアが主役となるイベントですから、教員が先回りして方向性を固め、牽引しては本質的な学びになりません。

     これまでも、関係性の質を変えようと外部のアクティビティを取り入れたことはありました。しかし、内容が予想外に難しくて早期に諦めてしまったり、モチベーションの有無による学生間の温度差が浮き彫りになってしまったり……。「まずはアイデアを出すことが大事だから、些細な内容でも言葉に出してみよう!」と声をかけても、なかなか状況は変わりませんでした。

    2. 導入のきっかけと、選んだ理由(Trigger)

    難解なルールはない。直感的に「楽しい」と思えるハードルの低さが、この現状を乗り越えてくれると確信。

     そんなときに紹介されたのが『ワークショップの素』でした。私自身が体験した際、単純に「楽しい!」と感じたのが第一印象です。

     これまでのアクティビティのように、頭で難しく考える必要がありません。「アルミホイルを高く積む(AL TOWER)」という、誰でも直感的に参加できる遊び感覚のワークだからこそ、アイデア出しの「0から1」へ進めず苦戦していた学生たちの緊張をほぐすのにぴったりだと感じ、導入を決めました。

    3. 変化と、成果(After)

    ワークを境に生まれた一体感。主体的に動き出した学生たち

     まずは学園祭のウォームアップとして、学生たちと「AL TOWER」を実施しました。

     すると、ワークが進むにつれて「どうにか高く積めないか」と、学生たちが自発的に発言し始めたのです。共同作業の中で自然と役割分担ができ、お互いの個性も見えてきました。一つの目標をチーム内で共有し、楽しみながら手を動かしたことで、終了後の雰囲気は和やかなものになりました。

     その後、学園祭の話し合いを再開すると、少しずつ自発的に意見を言う学生が増え、中には率先してリーダーシップを取る学生まで出てきたのです。これまでが嘘のような、嬉しい変化でした。

    シニア層の市民講座でも、「過去最高評価」

     さらに、社会人向けの市民講座でもこのワークを活用しました。高齢者の方々を対象に「VUCAの時代を生き抜くための思考の柔軟性」という、一見少し硬いテーマでの実施です。デジタル化への戸惑いや苦手意識を払い除け、「まずはやってみよう」という前向きな気持ちを持ってもらうためのメッセージとして、アルミホイルで自分をイメージした動物を作るワークを取り入れました。

     結果は想像以上でした。運営担当者から「アンケートで、こんなに評価が高かった講座はこれまでなかった」と驚きのコメントをいただいたのです。後日、参加者の方からも「アルミホイルでモノを作る体験が興味深く、人生観を改めて考える良いきっかけになった」と、ラブレターが届いたほどでした。

    4. 今後の展望(Future)

    組織が未成熟な「立ち上げ期」にこそ、効果を発揮する

     学生向け、一般向け、どちらのシーンでも確かな手応えを感じました。『ワークショップの素』は、参加者の年齢や属性を問わず、機能するツールだと思います。

     特に、まだお互いの関係性ができていない「組織の立ち上げ時期」や、チームとしての動きが成熟していないタイミングでは、効果を発揮するはずです。メンバーの意外な一面が見えることで、関係性が一気に発展します。

     アンケートや手紙から手応えを得られましたので、これからも様々な場面で活用していきたいと考えています。

  • 「チャイムが鳴っても、手が止まらなかった。」90分の講義で学生の内発的な熱量を引き出した、正解のないワークショップ

    「チャイムが鳴っても、手が止まらなかった。」90分の講義で学生の内発的な熱量を引き出した、正解のないワークショップ

    愛知県内短期大学 様

    社会人基礎論 非常勤講師 / プロセス・サポート・コンサルティング 

    加藤 佐千雄 様

    サマリー

    抱えていた課題

    従来の「正解があるワーク」や「競争メインのワーク」では、失敗したチームに残念な体験が残りやすく、時間切れと同時に思考も止まる「外発的な行動」で終わることに悩んでいた。

    選んだ理由

    90分という短い授業枠に収まること。そして、アルミという「自由度が高く、正解のない素材」を使うことで、学生たちの主体的な試行錯誤を引き出せると感じたため。

    導入後の成果

    制限時間を過ぎても「あれもできるかも!」と自主的に話し合う内発的行動が誕生。失敗しても「芸術性の高さ」に価値を見出すなど、多様な個性を認め合う心理的安全性が生まれた。

    1. 抱えていた課題(Before)

    「競争」や「正解」のあるワークが、学生の思考を縮こまらせ、挫折感を与えてしまっていた。

     私が担当する『社会人基礎論』では、社会に出てから必要とされるチームワークや対話の力を育むことを目的としています。グループで課題に挑戦し、意見の対立やモチベーションの維持、先が見えない不安を乗り越えながらアウトプットを出すという、まさに「実際の仕事」に近い経験を積むカリキュラムです。

     このプロジェクトを円滑に進めるため、初期段階で学生同士の信頼関係を高めるチームビルディングが必要でした。しかし、限られた授業時間(90分)の中でこれを実現するのには、常に難しさを感じていました。

     これまでは外部のワークショップなども取り入れてきましたが、多くのプログラムには「正解」や「競争(勝ち負け)」が用意されています。すると、うまくできなかったチームの学生が「残念な体験(自分はダメだという挫折感)」をして終わってしまったり、時間内に終わらせることだけを目的にした「外発的な行動」で終わってしまったりする悩みを抱えていたのです。

    2. 導入のきっかけと、選んだ理由(Trigger)

    90分で完結。そして「手先から伝わる自由さ」が、勝敗を超えた主体性を引き出す。

     そんな課題を抱えている中で出会ったのが『ワークショップの素(AL TOWER)』でした。

     選んだ最大の決め手は、90分という授業の枠内にぴったり収まり、学生たちが実際に手を動かすプロセスを通じて社会人スキルを学べる点です。

     さらに注目したのが、「アルミホイル」という素材の特性です。アルミは紙や既成のブロックとは異なり、引っ張る、ねじる、丸めるなど、自分の直感通りに無限に形を変えることができます。この「誰もが失敗せず、何をしても正解になる」という素材としての自由度が、従来のワークのような「うまくやらなきゃ」というプレッシャーから学生たちを解放し、自発的な行動(内発的動機)を引き出してくれるのではと期待しました。

    3. 変化と、成果(After)

    制限時間が過ぎても止まらない手。「多様なものさし」を認め合う組織へ。

     実際にワークを実施してみて、学生たちの変化に驚かされました。

     従来の研修やワークでは、制限時間が来ると学生たちはきっぱりと作業をやめてしまいます。しかし『ワークショップの素』では違いました。制限時間のチャイムが鳴り響いた後も、学生同士が「これもできるかも?」「もっとこうしよう!」と楽しそうに手を動かし、会話を続けていたのです。

     これは、アルミホイルを触り、自分のアイデアがリアルタイムで形になっていくプロセスそのものに、学生たちが「没頭」していた証拠です。

     また、「高く積む」というお題に対しても、ただ高さを競うだけでなく、独自の「芸術性の高さ(美しさ)」を自発的に表現し始めるチームも現れました。「高さ」という一つのものさしだけに囚われず、既存の価値観に忖度しない若者らしい多様な個性が、アルミの造形を通してのびのびと表現されていたのが印象的でした。

    実施後の学生アンケートより(抜粋)

    「自分が考えたことをみんなは同意してくれたけれど、他にいい意見がないか、もっと周りに聞いておけばよかったなと気づきました。コミュニケーションの大切さが分かりました」(学生A)

    ⇒単にワークを楽しむだけでなく、自身の関わり方を客観的に振り返る「メタ認知」の芽生えが見られます。

    「初めてで難しかったけれど、グループの中に得意な子がいて、その子の意見を聞いたり自分の意見を出したりして、みんなで考えるプロセスが楽しかったです」(学生B)

    ⇒メンバーの「意外な強み」を発見し、お互いを認め合う関係性が生まれています。

    「考えるだけだとつまらないけれど、実際に行動しながら目の前のことをやるのは楽しくて、退屈しませんでした」(学生C)

    ⇒言葉や理論だけでなく、体感覚(アルミを触る)を伴うことで、高いエンゲージメントが維持されたことが分かります。

    4. 今後の展望(Future)

    短時間で関係性を構築し、年齢を超えたフラットな対話を生み出すツールとして。

     『ワークショップの素』は、90分という限られた時間の中でも、参加者の内発的なモチベーションを刺激し、目に見える変化を起こせる確実なツールだと実感しています。学校の授業はもちろん、企業における「チームビルディング」や「創造性を引き出す組織開発」のきっかけづくりとしても、高いポテンシャルを秘めています。

     また、今回は学生向けでしたが、アルミホイルという身近な素材は年齢の垣根を取り払います。若手からベテラン、高齢者までが混ざり合う多様なコミュニティでも、役職や年齢に関係なくフラットに実施できるワークとして、様々なビジネスシーンで活躍することを期待しています。