
愛知県内短期大学 様
社会人基礎論 非常勤講師 / プロセス・サポート・コンサルティング
加藤 佐千雄 様
サマリー
抱えていた課題
従来の「正解があるワーク」や「競争メインのワーク」では、失敗したチームに残念な体験が残りやすく、時間切れと同時に思考も止まる「外発的な行動」で終わることに悩んでいた。
選んだ理由
90分という短い授業枠に収まること。そして、アルミという「自由度が高く、正解のない素材」を使うことで、学生たちの主体的な試行錯誤を引き出せると感じたため。
導入後の成果
制限時間を過ぎても「あれもできるかも!」と自主的に話し合う内発的行動が誕生。失敗しても「芸術性の高さ」に価値を見出すなど、多様な個性を認め合う心理的安全性が生まれた。
1. 抱えていた課題(Before)
「競争」や「正解」のあるワークが、学生の思考を縮こまらせ、挫折感を与えてしまっていた。
私が担当する『社会人基礎論』では、社会に出てから必要とされるチームワークや対話の力を育むことを目的としています。グループで課題に挑戦し、意見の対立やモチベーションの維持、先が見えない不安を乗り越えながらアウトプットを出すという、まさに「実際の仕事」に近い経験を積むカリキュラムです。
このプロジェクトを円滑に進めるため、初期段階で学生同士の信頼関係を高めるチームビルディングが必要でした。しかし、限られた授業時間(90分)の中でこれを実現するのには、常に難しさを感じていました。
これまでは外部のワークショップなども取り入れてきましたが、多くのプログラムには「正解」や「競争(勝ち負け)」が用意されています。すると、うまくできなかったチームの学生が「残念な体験(自分はダメだという挫折感)」をして終わってしまったり、時間内に終わらせることだけを目的にした「外発的な行動」で終わってしまったりする悩みを抱えていたのです。
2. 導入のきっかけと、選んだ理由(Trigger)
90分で完結。そして「手先から伝わる自由さ」が、勝敗を超えた主体性を引き出す。
そんな課題を抱えている中で出会ったのが『ワークショップの素(AL TOWER)』でした。
選んだ最大の決め手は、90分という授業の枠内にぴったり収まり、学生たちが実際に手を動かすプロセスを通じて社会人スキルを学べる点です。
さらに注目したのが、「アルミホイル」という素材の特性です。アルミは紙や既成のブロックとは異なり、引っ張る、ねじる、丸めるなど、自分の直感通りに無限に形を変えることができます。この「誰もが失敗せず、何をしても正解になる」という素材としての自由度が、従来のワークのような「うまくやらなきゃ」というプレッシャーから学生たちを解放し、自発的な行動(内発的動機)を引き出してくれるのではと期待しました。
3. 変化と、成果(After)
制限時間が過ぎても止まらない手。「多様なものさし」を認め合う組織へ。
実際にワークを実施してみて、学生たちの変化に驚かされました。
従来の研修やワークでは、制限時間が来ると学生たちはきっぱりと作業をやめてしまいます。しかし『ワークショップの素』では違いました。制限時間のチャイムが鳴り響いた後も、学生同士が「これもできるかも?」「もっとこうしよう!」と楽しそうに手を動かし、会話を続けていたのです。
これは、アルミホイルを触り、自分のアイデアがリアルタイムで形になっていくプロセスそのものに、学生たちが「没頭」していた証拠です。
また、「高く積む」というお題に対しても、ただ高さを競うだけでなく、独自の「芸術性の高さ(美しさ)」を自発的に表現し始めるチームも現れました。「高さ」という一つのものさしだけに囚われず、既存の価値観に忖度しない若者らしい多様な個性が、アルミの造形を通してのびのびと表現されていたのが印象的でした。
実施後の学生アンケートより(抜粋)
「自分が考えたことをみんなは同意してくれたけれど、他にいい意見がないか、もっと周りに聞いておけばよかったなと気づきました。コミュニケーションの大切さが分かりました」(学生A)
⇒単にワークを楽しむだけでなく、自身の関わり方を客観的に振り返る「メタ認知」の芽生えが見られます。
「初めてで難しかったけれど、グループの中に得意な子がいて、その子の意見を聞いたり自分の意見を出したりして、みんなで考えるプロセスが楽しかったです」(学生B)
⇒メンバーの「意外な強み」を発見し、お互いを認め合う関係性が生まれています。
「考えるだけだとつまらないけれど、実際に行動しながら目の前のことをやるのは楽しくて、退屈しませんでした」(学生C)
⇒言葉や理論だけでなく、体感覚(アルミを触る)を伴うことで、高いエンゲージメントが維持されたことが分かります。
4. 今後の展望(Future)
短時間で関係性を構築し、年齢を超えたフラットな対話を生み出すツールとして。
『ワークショップの素』は、90分という限られた時間の中でも、参加者の内発的なモチベーションを刺激し、目に見える変化を起こせる確実なツールだと実感しています。学校の授業はもちろん、企業における「チームビルディング」や「創造性を引き出す組織開発」のきっかけづくりとしても、高いポテンシャルを秘めています。
また、今回は学生向けでしたが、アルミホイルという身近な素材は年齢の垣根を取り払います。若手からベテラン、高齢者までが混ざり合う多様なコミュニティでも、役職や年齢に関係なくフラットに実施できるワークとして、様々なビジネスシーンで活躍することを期待しています。


